ご主人様はお医者様
そう言い付けられてるわけでも無いけど、私自身が先生と居たいから。
これは、私が勝手に決めたこと。
先生のせいじゃない…………。
「男でも出来たの?」
「ゴホッ!!えっ、何!?」
香澄の一言に飲んでいたアイスティーを吐き出してしまった。
「ちょっと、早くふきなよ!!はい、ハンカチ。小春ーー何動揺してるの!?」
私は香澄からハンカチを受け取ると、慌てて口元を押さえた。
「えっ、違う違う!!男なんてできて無いよ」
男とは一緒に住んでるけど……、
「私の話はいいからさ!!香澄はどうなの」
「えーーっ、私?実はさ、森先生は諦めたんだ」
「ええっ、何で?どうして?」
「院内で話せないし、こういうのは直接会ったときに話そうと思って黙ってたんだけど、
私、荒木先生と付き合ってまーーす」
「うそっ」
「ほんと――」
そういって掲げた左手薬指には、ブランド物のリングが光っていた。