ご主人様はお医者様
一瞬時間が止まったように感じた。
だって、目の前にいるのは――……、
「たっ、高木先生!!!!」
間違いない。
間違いであってほしいけど、本人だ。
「しっ、声がでかい!!
外科部長もみんないる。ばれたくなかったら下向いてろ」
チラリと奥のソファーを見ると、上機嫌にシャンパンを傾ける外科部長達がいた。
「うわっ、やばっ」
私は言われたとおりに下を向いた。
逃げ出すわけにもいかず、仕方なく高木先生の隣に座ったまま身を潜めた。
高木先生はそんな私を体で隠すようにしてくれる。
「なんで、こんなところに?」
小声で問いかけると、
「それはこっちの台詞だろ」
先生はため息混じりにそういった。