ご主人様はお医者様


射抜くような真剣な眼差しを向け、私の手首をギュッと掴む。


たじろぐ私をみて、森先生はパッと掴んだ手を離した。



「そんな顔しないでよ。さ、座って飲もう!?」


「本当に、少しだけですよ……」



私が向かい側に座ると「ビールでいい?」そういって、生ビールを2つ注文する。



「「かんぱーい」」



運ばれてきたビールを飲み干すと、森先生は私に2杯目を勧めた。



「あの、本当にすぐ帰らないと……」


「彼氏に怒られちゃうとか!?」


「いいえ、彼氏なんていませんから」



私がそう答えると、森先生はニッコリと微笑んでこういった。



「よかったぁーー!!僕さ、ずっと及川さんの事が好きだったんだ」


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