ご主人様はお医者様


「お見合い」


「お見合い!?」




そんな……、お見合いだなんて。


どうして話してくれなかったの!?




「このれは、教授側の人間から聞いた話なんだ。断れないんじゃないかな、出世に関わるし。そういえば、この前銀座のジュエリーショップで先生を見かけたって噂が……」





ああ、そっか……

あの箱は、婚約指輪ってヤツなんだ。




じゃあ、先生はその人と結婚するつもりなの!?



私、どうすればいいの――?



こんなに好きになっちゃって、



こんなに先生の傍にいることが当たり前になって、



先生が誰かのものになることが、



こんなに、こんなに、苦しいなんて――……。






「先生も酷いよね、及川さん囲っておいてお見合いだなんて」





森先生の声が遠くに聞こえる。

視界が霞むのはどうしてだろう――。






意識が……………







――ねぇ……、僕にしない――?







―――

――――――

――――――――・・・




< 87 / 304 >

この作品をシェア

pagetop