ご主人様はお医者様
「お見合い」
「お見合い!?」
そんな……、お見合いだなんて。
どうして話してくれなかったの!?
「このれは、教授側の人間から聞いた話なんだ。断れないんじゃないかな、出世に関わるし。そういえば、この前銀座のジュエリーショップで先生を見かけたって噂が……」
ああ、そっか……
あの箱は、婚約指輪ってヤツなんだ。
じゃあ、先生はその人と結婚するつもりなの!?
私、どうすればいいの――?
こんなに好きになっちゃって、
こんなに先生の傍にいることが当たり前になって、
先生が誰かのものになることが、
こんなに、こんなに、苦しいなんて――……。
「先生も酷いよね、及川さん囲っておいてお見合いだなんて」
森先生の声が遠くに聞こえる。
視界が霞むのはどうしてだろう――。
意識が……………
――ねぇ……、僕にしない――?
―――
――――――
――――――――・・・