ご主人様はお医者様
どれくらい時間がたっただろう?
すごく長く感じたのは、こんな状況だからかもしれない。
席を立つことも出来ない私は、ただ黙って座っているだけ。
そんな私に最大の危機が・・・
「そっちのこ、私の所に来なさい」
「ひっ、私っ!?」
外科部長は、ニヤニヤとしながら私を手招きする。
どうしよう、ピンチだよ〜!
縋るような目で、高木先生を見上げた。
「仕方ない、助けてやるか…」
「え?」
するといきなり、高木先生は私の腕を掴んで立ち上がった。
「この子、具合が悪そうなので外へ連れて行きます」
そういうや否やふわりと私を抱き抱えた。
そのまま高木先生は店の出口に歩き出した。
「ちょ、やだっ!!おろしてくださいっ」
「……下ろしてどうする。暴れるなよ、落ちるぞ」
マネージャーも、他のスタッフもあっけに取られた様子でポカンと私を見ている。