ご主人様はお医者様
森先生のマンションを出て、一度高木先生のマンションへ戻る。
ドアを開けると、カーテンの引かれた薄暗い室内は寒々としていてやけに静かだった。
部屋の掃除を軽くして、キッチンへ。
冷蔵庫を開けると、昨日下ごしらえした食材はそのままだった。
「食べなかったんだ」
当たり前か、作るべき私がいなかったんだから……。
でも、
もう私は必要ないんだと思う。
だって……、
婚約するんだもんね――――。