ご主人様はお医者様
泣きはらした目をどうにかメイクで誤魔化して、ナースステーションに入ったのは17時。
日勤のナースから申し送りを受けて夜勤業務に入る。
白衣を着て、仕事モードになればどうにか気持ちも落ち着くはずだった。
でも、そんなにうまくいかないものだ。
――「及川さん、お疲れ様」
「森先生!!おっ、お疲れ様です」
病室を出たところでいきなり森先生に声を掛けられた。
「二日酔い、大丈夫?」
「はい、あのちょっと!!」
私は、森先生を職員階段の踊り場まで引っ張っていき、昨日の出来事を聞きだそうとした。