ご主人様はお医者様
先生は、何も言わずに私を見つめている。
いつからいたの!?
もしかして全部聞かれてたの!?
沈黙に絶えられなくなってゆっくりと口を開いた。
「せん……せっ、きゃっ」
先生は無言で私の腕を掴んでぐいぐいと引っ張っていく。
「あの、どこへ行くんですかっ!?」
私の質問には答えてくれない。
廊下を行きかう患者さんも、ナースも、医者も、
みんなが振り返って見てる。
「私、仕事がっ」
それでも先生は足を止めようとしない。