田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
靴底は焼けてしまい熱い

とにかく足が痛かった

「あの子らはもっと痛い思いをしている」

そう思いとにかく歩いた

そこからさらに二日かけて病院に辿り着く

あたりは処理を待つ遺体が異臭を放ち

人々の呻き声と泣き声が響き渡る

目も当てられないくらいの怪我をし体中を蛆に喰われるがままの人々がたくさんいる

これでも病院かと言わんばかりの光景だ

初五郎はひとりひとりの顔を覗きこみシイエを探した
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