田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
そんな神父様の心情など幼い二人は知るよしもなく

「神父様…私たち二人今度長崎に行くことになったとです!もう教会のお手伝いができません…おゆるしください」

「よかよか…やっぱり行くとか…」

神父様は今まで何人もこうして娘達を送り出しては自分の無力さに涙し

せめて奉公に出た娘達の幸せをと

ただただ毎日祈りを捧げるしかなかったのだ

奉公に出るというのに希望に満ちた表情の二人に長崎にはたいそう美しい教会がある事を伝えた

「大浦という所に教会がある…それはそれは綺麗な教会たい…二人でその教会へ行きなさい、そして祈りなさい…きっと仕事もうまくいくやろう」
< 12 / 202 >

この作品をシェア

pagetop