田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
シイエの横で立ち止まるアメリカ兵
シイエはもうダメだと思った
アメリカ兵はシイエの手から義輝を取り上げた
義輝をシイエの手の届かない高さまで抱き上げなにやらわからない言葉でわめいている
「ベイビー」
そんな言葉だけ聞き取れた
「何をするんですか!返して!その子を返して!お願いします…」
シイエは恐れも忘れアメリカ兵にしがみつく
「ノー!」
泣きながら懇願するシイエにそう言うとアメリカ兵は義輝をくるくる回しながら笑った
もうひとりのアメリカ兵がシイエをみてニッコリ笑った
シイエは言葉がわからないながらも少しだけ楽になった
いざとなれば飛び掛かろう…そう考えてもいた
「サンキューマム」
しばらくしてアメリカ兵は義輝を返してくれた
そしてビスケットやチョコレートを差し出し抱えきれないほど持たせてくれたのだ
シイエはもう神を信じない
しかし人間は信じてみようかとこの時感じた
初義は戦争に殺された
しかし目の前の「元敵兵」に殺されてはいないのだ
シイエはもうダメだと思った
アメリカ兵はシイエの手から義輝を取り上げた
義輝をシイエの手の届かない高さまで抱き上げなにやらわからない言葉でわめいている
「ベイビー」
そんな言葉だけ聞き取れた
「何をするんですか!返して!その子を返して!お願いします…」
シイエは恐れも忘れアメリカ兵にしがみつく
「ノー!」
泣きながら懇願するシイエにそう言うとアメリカ兵は義輝をくるくる回しながら笑った
もうひとりのアメリカ兵がシイエをみてニッコリ笑った
シイエは言葉がわからないながらも少しだけ楽になった
いざとなれば飛び掛かろう…そう考えてもいた
「サンキューマム」
しばらくしてアメリカ兵は義輝を返してくれた
そしてビスケットやチョコレートを差し出し抱えきれないほど持たせてくれたのだ
シイエはもう神を信じない
しかし人間は信じてみようかとこの時感じた
初義は戦争に殺された
しかし目の前の「元敵兵」に殺されてはいないのだ