田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
奥様はだまってその布きれを抱き締める

そして立上がりその場を離れた

「お幸…」

源さんが言う

「大丈夫です、しばらく一人にしてください…お願いします」

「お母様…」

奥様の後を追うかよをおキヨさんがひきとめる

「今は一人にしてあげましょう」

奥様は奥座敷の襖を閉めると無言で大粒の涙を流した

皆に聞こえないように…

どこかで生きているかもしれないという想いがありそれまで苦しみ続けていたのだ

様々な想いにしばらく涙は止まらなかった
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