田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
おキヨさんの指示が飛ぶ

「あなたたちは土間と板の間の掃除をお願いね。私は食事の支度をするから」

そう言うとおキヨさんは台所の方へ

二人は言われた通りに土間と板の間を掃除した

「朝からこんだけ一人でしよったとばいね…おキヨさんきつかったばいね、えらかね」

「本当ね、広かけん掃除だけでもきつかよね」

支度ができた頃に皆が起きてきてそれぞれの席に座ってゆく

上座に奥様と旦那様が腰掛けて二人に奥様が声をかけた

「おはよう。よく眠れましたか?」

「うん、おはようございます!フカフカの布団で気持ちよかったもんねヨッコちゃん」

「そう、良かったわね。でもね、これから返事をするときはうんではなくはいとおっしゃいね」

「うん、あ…いけん…はいわかりました」

皆が笑った

「それでは朝ご飯いただきましょう」

シィエ達は旦那様を気にしながら軽く十字をきって手を合わせた

この店では皆で揃って食事をとる

奉公人たちも一緒だ

別々に食べるのは時間の無駄だというのが旦那様の考えだという
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