田舎の花～原爆を生き抜いたシイエ～

丸山で一軒目のその料理屋には大きな庭がありきれいに花を生けた花瓶がおかれている

広い玄関をくぐり抜ける

「おはようさんです！おかっさま花幸でございます新しい奉公人のご挨拶に伺いました」

「はーい」

奥からおかっさまと呼ばれる人が顔を出す

シイエ達二人を見てこう言った

「あら、こんな小さい子供達なの？かわいかあ…名前は？」

「はい！私は古川シズエといいます。みんなシイエって言います」

「私は堤よしこヨッコちゃんていわれてます」

おかっさまはにこやかに目を細めて話を続ける

「上手に挨拶できましたね。シイエちゃんにヨッコちゃん、花屋よりここで働かんね？綺麗な舞妓さんにしてやるばい」

すかさず番頭さんが口を開く

「おかっさま、冗談はなしですばい今日は挨拶に来たとですけん」

「わかってますよ、お幸さんの所なら大丈夫さ、あんたたち？お幸さん見ていい女にならんばよ」

シイエ達はよくわからないままお礼を言ってから失礼しますと料亭を後にした