田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
国夫はそわそわしながら話を続ける

「朝おれが市場に行った帰りにな…おかっさまの所の番頭に会って、うちに来る途中だったらしいが…予約のお客様が百合の花を50本花瓶に飾ってほしいそうなんだ…今百合は時期はずれやし店にもなかとに…揃わんて言うたばってんなんとかしてくれと頼まれてしもうた」

「それは困りましたね…他の花ではダメなのでしょうか?それはいつまでなんですか?」

「今度の日曜だから…あと三日しかない」

「おかっさまのお客様で百合50本ですか…」

幸枝は何やら思い出すような顔をして

「まさかね…」

そうつぶやいた

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