田舎の花~原爆を生き抜いたシイエ~
とにかく時期はずれの百合を探すのは容易ではなかった

番頭さんは花屋から農家まで一軒一軒まわり少しずつ本数を増やしていった

「明日また少し出せる分があるそうなのでまた行ってきます」

そうしてどうにかこうにか五十本の百合が揃った

なにせ時期外れなため最高の物は揃えられなかったがこれが今できる限界

「仕方ない…これを持っておかっさまに事情を話すとしよう」

旦那様はそう言い時計をみて安堵の表情を浮かべた
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