好きな気持ちが溢れて
コミュニケーション

元々好きではない人との会話やらコミュニケーションやらは初対面だとより苦手意識は強くなるばかりで

自分の意見を表立って言うよりは顔見知り程度であっても他に合わせる方が楽だって思うようになってきていた

そうすれば一人で責任を負わなくても良いから、責任は自分にだけある物ではないから

いつの間にかそうやって逃げてばかりいた

いつの間にかそうやって弱い生き方をするようになっていた





「そういやお前、バイト始めたんだっけ?」

呼び出された喫茶店で天野は開口一番そう言った

彼は高校からの顔なじみで三年間同じクラスメイトだった

身長が高く柔道経験ある体型はがっちりしていて恐面ということもあって周りから恐れられていた

中学時代から喧嘩っ早い天野に対して、触らぬ神に祟りなしとはよく言った物で必要以上に関わろうとするやつはいなかったらしい

いたとしたら俺みたいに何の考えなしについていってしまうとかそんな感じ

何故だか俺は高校入学初日に隣りの席でもないのに声を掛けられた

あの時は不思議に思ってたけど今ならわかる

非力で逆らわない従順なやつに見られたのだろう

決して特別なやつなわけじゃない、舐められていただけだ

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