好きな気持ちが溢れて

高校生の時、学校に申請すれば認められないことはなかったから、父親に相談すると、普段は自由奔放に見逃してくれて口も挟まないくせに、こんな時は学生の本分は勉強だろ、と誰が言い出したのかすらわからない古臭い理説を唱えられたからやむを得ず諦めていた

もうそろそろいいだろ

いや、やるには今しかない

場所は万が一交通費を貰えないことも考えて大学までの定期券内がいいだろう

アルバイト情報サイトで探した結果、高校生の時よく帰りにお供させられたファーストフード店を見つけた

ここなら駅前で交通の便もいい、俺は即決して面接の電話をすると後日即採用になった

「ほら、ボサッとしない!」

近くで物音を立てられて一瞬何が起きたのかわからなくなった

でも辺りを見回してすぐ先輩の香織さんが持っていたトレーで鉄板を叩いたことを察する

「んー?谷口くーん?」

聞いてる?聞いてるよねぇ?え、まさか聞いてないなんてことないよね?と妙な圧力を加えた問い掛けをしながらまたトレーを振り上げたから待ったをかける
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