好きな気持ちが溢れて
二つ年上で大学三年生の優さんもアルバイトを始めたのが大学入学後の夏休みからで今年で三年目
そこそこのキャリアを持つ優さんは、見た目も身長も中学生に間違えられたこともある程童顔で小柄な彼女はほんわかして天然な一面を持ち合わせていて、香織さんも草島さんもお気に入りの癒し系だ(でも草島さんにとっては年上)
だからだろう
今も緊迫した雰囲気が優さんの登場で和らいだような気がする、いや絶対そうだ
「どう?忙しい?」
「いや、夕方ですからあんまりですね」
「あー、そっか夕方はそんなに混まないもんね。でもお疲れ様」
見てくださいとガラガラな店内を指差せば確かにと納得される
労いの言葉と一緒に向けられた笑顔に自分も笑い返すと突如誰かに突き飛ばされた
「優さーん!」
よろめいてレジに突っ込みそうになった俺の横を見覚えある影が通りすぎて数秒前に話し掛けた相手の手を取りはしゃぐ
その声色は自分には絶対向けられないだろう代物に違いない
そしてその笑顔も同等だ
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