好きな気持ちが溢れて
「草島さん、痛いです」
どんな風な反応が返ってくるかの予想はついている
一体どんな恨みを持たれてるのかわからないが、確実に取られている好ましくない態度に戸惑いながら抗議の声を上げる
あ、ごめんと口先だけの謝罪といつも通りの冷たい眼差しを送られて、でもと付け加えられる
「お前が気安く優さんに話し掛けるからいけないんだろ」
どこが一体そうなのか詳しい説明もしてもらえず一方的に自業自得だと決めつけられた
この人はまさか自分を中心に世界が回ってるだなんていう論理思考の持ち主なんだろうか
だったらただの痛い人
なるべくなら関わりを持ちたくない痛々しい考えの人
その思いが声以外の手段で伝わったのか生意気だと肩をどつかれた
あ、パワハラだ、パワハラだ
男の癖に、と苦言を呈するのは待ってほしい、年下女子からとはいえグーは痛いって
加減を知らないのがまた彼女の身勝手さを際立たせた
肩を押さえる俺に大笑いするこの人が悪魔に見えてきた時
「大丈夫?」
ちょっとやり過ぎなんじゃないかと心配してくれた優さんを見てようやくバツの悪そうに口先を尖らせた草島さんは今のは強かったかもごめんと頭を下げた
初めて謝罪された気がする