優しさに甘えて
「あたし、今日で最後にする」
また前触れもなく言う
そしたら、あたしの頬を撫でていた彼の手が止まった
「あたしね、強くなるよ」
優夜の目を真っ直ぐ見て
揺るがない決心だと伝えたかった
優夜は少し寂しそうに笑い
「…そっか」
あたしの頬から手を離す
「…璃緒先輩と幸せになってね。あたしとの事が知られちゃったら全部あたしのせいにして あんなに優しくて素敵な人を絶対に手放しちゃ駄目だよ…?」
「………」
あたしのために
罪を重ねてくれてありがとう
愛をくれてありがとう
助けてくれてありがとう
優夜は何も言わないけどあたしは構わず続けた
「あたしは優夜が好きだったか、分からない。…でも求めたら必ず応えてくれる優夜にずっと甘えてた あたしの世界には優夜だけだったから」
「…うん」
彼はここで初めて答えた
「けど、もっと周りを見てみようと思った。…視野を広くすれば、たくさんの人と関わっていけば璃緒先輩や優夜みたいな人ともっと知り合えると思うから」
「…うん」
「それでいつか、心から愛せて愛してくれる人と幸せになりたい…あたしみたいな子がいたら助けたい」
「…結乃は、優しいね」