逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



小鳥のさえずりが聞こえて、目を覚ました。



隣で眠る橘くんを起こさないように、そっと布団から出る。



部屋の窓際に立ち、カーテンの隙間から窓の外を見つめた。



あの日を最後に、あたしの世界は色を失ったと思ってた。



でも、まるで絵に描いたように綺麗な朝焼けの空に、



まだ心震える自分がいたんだと、少しだけ安心した。



こんな景色を、



お母さんにも見せてあげたかった……。



夜が明けて、朝日が昇ってくる東の空。



あたたかい光に目を細める。



やっぱりあたしには、眩しすぎる――。



星は……



明るい世界では姿を消してしまう。



その場所で。



息をしていても。輝いたとしても。



誰にも見つけられない。



夜にしか見えない。



それが星の運命――。



「咲下……?」



呼ばれて振り向くと、橘くんが床に横になったまま、眠たそうにまぶたをこすっていた。



「ごめん、起こしちゃった?」



「ううん……てか俺いつのまに寝ちゃったんだろ?咲下、具合は?」



「橘くんのおかげで、熱も下がったよ」



「そっか……よかった」



橘くんの優しい微笑みに、あたしもニコッと笑った。



あたしは振り返って、部屋のカーテンを勢いよく開ける。



窓から陽の光が差し込み、部屋の中が一気に明るくなった。



「すっかり朝だな」



「うん……そだね……」






きっと誰にも変えられない



星は

その運命を



受け止めるしかない


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