逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


久しぶりの学校。なんだかまだ気分が慣れない。



「おはよ~橘」



「おはよー」



先に橘くんが教室に入っていき、あたしはその後を追いかけるように入っていく。



クラスメートたちの視線が一気にこっちへと向けられた。



どうしよう……久しぶりで気まずい……。



「咲下さんっ!大丈夫ー?」

「なかなか学校来ないから心配したよぉ」

「咲下、おひさ~」



そう言って、クラスの女子や男子があたしの方に寄ってくる。



前からクラスのみんなとは挨拶する程度しか話さないし、



みんなから“ひとりが好き”って思われてるあたしでも、



やっぱりこういうことがあると、ほんの一瞬でも注目されてしまう。



つらいな……。



「う、うん……ありがと、みんな。心配かけてごめん」



うつむいてあたしが言うと、橘くんがあたしの前に立って、みんなに向かって大声で言った。



「はいはい、しゃべるの終わりなー!いまから合唱コンの練習やっからー。みんな机後ろに下げて前に並んでー」



橘くん……もしかして。



あたしがみんなから、いろんなこと聞かれるのを避けるために……?



だから朝、あたしを待っててくれたの?



だから一緒に学校に行こって言ってくれたの?



あたしを守るため……?



あたしは橘くんの背中を見つめて、彼のブレザーを右手でぎゅっと掴んだ。



「橘くん」
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