逢いたい夜は、涙星に君を想うから。





☆凜side☆



電車のドアを背にして、もたれかかった。



橘くんがあたしを呼ぶ声も、少しずつ遠くなって。



やがて聞こえなくなった。



電車からもう駅のホームは見えない。



流れゆく街の景色を見つめる。



空からは、ふわり粉雪が舞っていた。



お母さんと過ごした場所。



橘くんと出逢った場所。



この街から、あたしはいなくなる。



すべてが思い出の中へと消えていくんだ。
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