逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
橘くんがいない世界で。
橘くんへの想いを閉じ込めて。
これから生きていく。
だから、泣き顔なんかじゃなくて、笑顔で別れたかった。
でも、こらえきれなくて。
涙がこぼれて。
だから電車に乗り込んだら、もう橘くんの方には振り向けなかったの。
これが最後だから……とか。
橘くんには、あたしの笑顔を覚えていて欲しいから……とか。
そんな理由じゃない。
強がってでも、ムリをしてでも。
笑顔を見せて、あたしはもう大丈夫だって、
ひとりで大丈夫だからって、
橘くんに、そう思って欲しかった。
いままでずっと心配してくれたから。
いつも助けてくれて。
一緒にいてくれた。
ひとりじゃ耐えられなかったよ。
つらくて、どうしようもなかったけど。
橘くんがいてくれたから、
あたしはいま、ここにいる。
そう心から思う。
だからもう、あたしのこと心配しないで大丈夫だよって。
最後に笑顔を見せたかったの。
そんなあたしに、橘くんは最後まで優しかった。
彼は、最後に優しい嘘をついた。