逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
家の中に入ると、父親があたしを案内する。
階段を上がって、2階にある6畳ほどの広さの一室に連れていかれた。
部屋の真ん中には布団一式、
窓際には折り畳み式の小さな白いデスクとイスが置いてあるだけの殺風景な部屋だった。
「ここが凜の部屋だ。好きに使いなさい」
父親の言葉に、あたしは小さく頭を下げる。
「あぁ、それからな、転校先の制服が間に合わなくてな。しばらく前の学校の制服でいいそうだから」
「はい……」
「それと、学校までの地図書いておいたから」
「はい……」
「なにかあればいつでも言いなさい。じゃ」
「あのっ」
「なんだ?」
振り返った父親から、あたしは視線を逸らして、うつむく。
「その……再婚してたこと知らなくて……」
「そうか……。おばさんからは何も聞いてなかったか?」
あたしは小さくうなずく。
「再婚して新しい家庭があるのに……お母さんの入院費とかいろいろ払ってもらって……すみませんでした……。いつか必ず働いて返します……」
皮肉まじりに言ったつもりだった。
「凜……」
「あたし……この家に来てよかったんですか……?」