逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「りーんーちゃーんっ」
ニコっと笑って、女の子があたしの部屋の前に立っていた。
無邪気で、天使のような笑顔。
「お名前……なんて言うの?」
あたしが聞くと、女の子は人差し指を自分の頬にあてて言った。
「のえる」
「のえるちゃん?」
「のえるってよんでねっ。のえるー、3さい。もぉすぐ4さいになるのぉ」
「そっか、よろしくね」
あたしが微笑むと、のえるは嬉しそうに駆け寄ってきて、あたしにぎゅーっと抱きついた。
複雑な気持ちだった。
この可愛らしい天使のような子が、
父親とあの女の人との間に出来た子供で。
あたしの妹だなんて。
あの女の人が、お母さんを裏切ってまで不倫したときの相手なのだろうか。
そうじゃないことを願った。
そんな人がいるこの家で暮らしていくなんて、
死んだお母さんに申し訳ない。
それにこの子……。
のえるは何も知らなくて、何の罪もないのに。
あの女の人が、うちの家庭を壊した人だとしたら。
あたしは……。
のえるを心から可愛がってあげられる自信がない。