逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


――――――……


「転校生を紹介するからな。みんな、仲良くしてやってくれ」



先生の言葉で、あたしは教室に入っていく。



教卓の前に立ち、クラスメートたちが見つめる中、



「咲下……凜と言います……。よろしくお願いします」



あたしは頭を下げた。



クラスメートたちが拍手をしてくれて、あたしは頭をゆっくりと上げる。



あれ……?



「咲下の席は、窓側の一番うしろな」



「あ、はい」



先生に返事をしたあと、あたしは自分の席に向かって歩いていく。



やっぱり……そうだ。



さっき道で止まってくれた自転車カップルの、男の子のほうが、あたしの前の席に座っていた。



じゃあ彼女も同じクラス……?



キョロキョロとクラス内を見たけど、彼女はどうやら同じクラスじゃないみたい。



あたしが自分の席に座ると、その彼があたしの方に振り向いた。



「同じクラスやったんや」



「ホントだね。さっきはありがとう」



「凜は、このへんに住んどるん?」



「え……?」



いきなり名前を呼び捨てにされて、動揺する。
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