逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


「なん?」



「いや、いきなり名前呼ばれたから……ちょっとびっくりして……」



「え?名前、凜やろ?まさか偽名言いよったん?」



「……本名ですけども」



なんだろう……この人。



ヘンなの。



出逢ったばかりなのに、話しやすい雰囲気。



「俺、大森陽太」



「あ、うん……」



「陽太でええけん。みんなそう呼んどるし」



彼の名前は、大森 陽太(おおもり ひなた)。



見た目は、いかにもモテそうで。



目鼻の整った顔だち。



パーマをかけているのか、少しクセのある茶色い髪の毛。



明るい笑顔で、なぜか方言まじりに話す男の子。



「早く慣れるとええね」



「……うん……ありがと」



朝の陽の光が差し込むあたたかい教室。



「なんでも聞いてなっ」



そう言った彼の笑顔は、とても眩しかった――。
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