逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「もう詩の話は、おしまい!」
そう言ってあたしがノートをカバンの中にしまうと、彼は言った。
「……いつか見せて」
「え……?」
「凜の自信作が出来たらでええけん」
「……じゃあ……考えとく」
陽太くんはニコッと笑った。
初めて書いた詩は、いまでも覚えてる。
だけど、中学の頃。
そのノートをどこかで無くしてしまって、すごくショックだった。
あたしのいろんな想いが詰まったノートだったから……。
「凜」
「なぁに?」
「凜の前の学校の制服は、リボンやったんやね」
「あーうん。新しい制服が間に合わなくて、しばらく前の制服で通うの」
この高校の制服は、男子も女子もネクタイだった。
「リボンがよかったなぁ。だってあたし……ネクタイの結び方とかわかんないもん……」
「覚えたら簡単や」
彼の両手がすっと伸びてくる。
彼は、あたしのブラウスの襟元に触れ、リボンを外した。