逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
陽太くんと視線がぶつかる……。
「お、覚えたんなら、よかったけん……!」
彼は、パッとあたしから離れて、くるっと後ろを向いた。
「陽太くん?」
彼は頭を掻きながら、あたしに背を向けたまま返事をした。
「な、なん?」
なんでこっち見てくれないんだろう……?
「ネクタイ、結んだままだけど……もらっていいの?」
「なっ……!いかんよ!」
やっとこっち向いた。
「ふふっ。もらっちゃおーっと」
「いかんて!やったら俺、今日どーするん?」
「あたしのリボンあげるよ」
「なんでや!」
あたしはニコッと笑った。
「そんな顔赤くしてまでムキにならなくても……アハハッ」
「別にムキになんかなっとらんよ!なんやこの教室、暑い……ふーっ」
「はいっ、ありがとっ」
あたしはネクタイをはずして、陽太くんの首にネクタイをかけた。
陽太くんはネクタイを結びながら、教室のドアの方へと歩いていく。
「え?どこ行くの?」
「ノド渇いたけん。ジュース買うてくる。凜は何飲む?」
「じゃぁ、ミルクティー!あったかいやつ」
「りょーかい」
そう言って陽太くんは教室を出て行った。