逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



――ガチャ……。



「りんちゃーんっ!」



部屋のドアが開き、のえるが笑顔で立っていた。



のえるの手には、あたしが探してた星砂のキーホルダー。



なんで……?



なんで、のえるが持ってるの……?



「返してっ」



のえるの手からキーホルダーを取り上げた。



「りんちゃん、あのね……」



「人の部屋に入って、勝手に人の大事な物を盗むなんて……」



「え……?」



「出て行って!次こんなことしたら許さないからね!」



あたしが大声で叱ると、のえるは泣き出した。



「ふえっ……っく……ふえぇ―――んっ」



小さな子を泣かせて、胸が痛むのに。



なのに止められない。



「うるさいっ!」



自分を止められない。



「なんでのえるが泣くのよ!?のえるが悪いんでしょ?」



「うぇ―――んっ」



泣きたいのは、こっちだよ……。



こんな生活……。



そのとき、のえるの母親が部屋にやってきた。



――パシンッ……!



彼女は平手であたしの左頬を思い切り叩き、あたしは布団の上に倒れ込んだ。



「りんちゃぁんっ!いたいよぉ。だめよぉ、ママぁ!」



泣きじゃくるのえるが、あたしの体にしがみつく。



「のえる、下の部屋に行っててちょーだい」



「ママぁ……」



「ママの言うことが聞けないの?」



「ひっく……ひっく……りんちゃぁん……」



のえるは泣きながら部屋を出て行った。



叩かれた頬を左手で押さえて、あたしはゆっくりと起き上がる。



彼女は立ったまま、上からあたしを見下ろして睨んでいた。
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