逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
――――――……
机の上であたしは頬杖をつく。
退屈な数学の授業、クラスメートの中には机に突っ伏して寝ている生徒も何人かいる。
机の上には数学の教科書とペンケース。
そしてノート。
このノートは授業用のノートじゃなく、あたしが中学の頃から書いている詩を書く用のノートだ。
このノートには詩の他にも、ときどき日記を書いたりもする。
前にこのノートを陽太に見られそうになったけど、慌てて取り上げた。
詩といっても全然ヘタクソだし、誰かに読んでもらうために書いてるわけでもないから恥ずかしい。
このノートも2冊目になる。1冊目のノートは中学のときに、どこかで失くしてしまったけど、
初めて書いた詩だけは、不思議といまでも覚えてる……。
あのノート、どこで失くしたのかな……。
「えぇ、ここの問題は、この式にあてはめると……」
退屈な授業。
詩を書こうと思って広げたけど、今日は手紙を書くことにした。
シャーペンをカチカチと親指で押す。
出すこともないこの手紙。
誰も知れないあたしの想い……。