逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
――――――……
晴れた綺麗な青空。5月、気温も暖かく初夏らしい陽気が続いていた。
高3になって、もうすぐ2ヶ月が経とうとしている。
3年3組の教室。
朝のHRの時間、クラスメートたちがざわざわと騒いでいる。
「おーい、席替えするぞー。順番に並んでクジ引いていけー。ズルすんなよー?」
そう言って教室に入ってきた担任は、教卓の上にクジ引きの箱を置いた。
3年のクラス替え、くぼっちとは、また同じクラスになった。
「どちらにし・よ・う・か・な?神様のいうとおり……イテッ!」
担任がクジ引きの箱に手を突っ込んでいるくぼっちのおでこにデコピンした。
「久保寺、歌ってないで早く引け。ふざけてると、おまえいちばん前の席にすんぞ?」
「わー!先生~ひどぉい~」
「みんな待ってんだから、早く引け」
「へいへーい」
相変わらず、くぼっちのおかげで毎日が騒がしい。
「よっしゃー!俺、窓側のいちばん後ろーっ」
くぼっちはクジを引いた途端、大きな声で叫ぶ。
くぼっちのクジ運、半端ねぇな……。
肩を弾ませてノリノリで鼻歌を歌いだすくぼっちは、俺の引いたクジをのぞきこむ。
「フンフフーン~♪橘はどこの席?」
「うわー。俺くぼっちの前じゃん……」
「ねぇねぇ、なんでそう嫌な顔すんの?ねぇ何で?ねぇ」
「あーうっざ」
「ホントはうれしいくせに~!琉生くんたらぁ~ツンツン」
くぼっちを無視して、俺は新しい席のほうへ歩いていく。