逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「うわぁっ!びっくりしたー」
視界にくぼっちの顔が飛び込んできて驚いた俺は、思わず大きな声を出してしまった。
「……ハァ。心臓止まるかと思ったじゃん」
起き上がり、あぐらをかいて座り直すと、くぼっちも俺の隣に腰を下ろした。
「くぼっち授業はどーした?」
「ふっ、ここでサボってるおまえが聞くなよ」
「ふぁ~あ。なんか午後は眠くてさぁ」
俺は両腕を伸ばして、大きなあくびをする。
「橘、ケータイ見せて?なに撮ったの?」
「なんでだよ?」
「どーせ、あれだろ?あのハート型の雲の写真、撮ったんだろ?」
「はぁ?んなわけねぇだろ。つーか吉野と俺の話、聞いてたのかよ?」
「後ろの席なんだぞ?聞こえるに決まってんだろーが。早くケータイ見せろっ」
くぼっちは俺に掴みかかって、俺のケータイを無理やり取り上げた。
「ゲット~」
「おいっ」
「なんだっけ?ハートの雲の写真を撮って、待ち受けにすると好きな人と両想いになれるんだっけ?琉生くんてばぁ~もぉかわいいんだからぁ!乙女かっ」
俺のケータイの画面を見て、ニヤニヤするくぼっち。
「は?俺、空飛んでる飛行機、撮ったんだけど?」