逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



「ちょっ、え?おまえ、咲下が初恋なの?」



俺は小さく頷く。



「マジかよ。つーか、高2が初恋って遅くね?」



「高2じゃなくて。もっと前から……」



「待て待て、え?高1のときって咲下と同じクラスじゃないよな?」



「そーだよ。違うクラスだった。というより、高2で咲下と同じクラスになるまで、咲下が同じ学校に通ってることも知らなかった」



「は?なに?意味不明なんだけど。おまえ、咲下と同じ中学なの?いや、それなら同じ高校通ってるって知ってるか。もーなに?わけわかんねー」



俺は大きく息を吸い込んで、吐き出した。



青空を見つめて、俺は呟く。



「この話を誰かにするのは、くぼっちが初めてだわ……」



「おまえが心を開いてくれて嬉しいよ?」



そう言ってくぼっちは、ふざけて俺の頭をグシャグシャっと撫でる。



「くぼっち、俺さ……」



「ん?なに?」



俺は寝っ転がったまま、隣に座るくぼっちの顔を見つめて言った。



「中学の時、俺……人殺そうとした」



「……え?」



「人を殺そうとしたんだ」



「ちょっ……おまえさっきから話が全然、意味わかんねぇって……」



「俺を助けてくれたのが……咲下なんだよ……」



誰にも言えなかった過去。



そして僕らが出逢ったあの日――。
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