逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「咲下……」
橘くんは両手をズボンのポケットの中に突っ込んで、うつむく。
「ん?」
「……これ」
そう言って橘くんは、左のポケットからあるものをあたしの前に差し出した。
「え……?」
「今日の自由行動のときに買ったんだけどさ……」
橘くんがポケットから取り出したのは、星砂のキーホルダーだった。
「うそ……それ、あたしも持ってる……」
あたしはお財布の中から、今日買った星砂のキーホルダーを取り出した。
「え!?マジ?咲下もそれ買ってたのかよ……しかも同じ青色じゃん……」
こんな偶然て……。
「すっごい偶然だな」
「ホント、びっくり」
「やっぱりピンク色のほう選べばよかったな……」
橘くんは小声で呟く。
「え?」
「いや、なんでもない。お土産見てた時、目にとまってさ。なんとなくだけど、咲下がこういうの好きそうな気がして……」
「え?もしかして、それあたしに?」
「……うん、そう。でもまさか同じやつ買ってたなんて思わなくて。しかも同じ色だしな」
橘くんがあたしに?
なんで?
どうしよう。
うれしすぎて、あたしなんか泣きそうだよ。