逢いたい夜は、涙星に君を想うから。

「咲下……」



橘くんは両手をズボンのポケットの中に突っ込んで、うつむく。



「ん?」



「……これ」



そう言って橘くんは、左のポケットからあるものをあたしの前に差し出した。



「え……?」



「今日の自由行動のときに買ったんだけどさ……」



橘くんがポケットから取り出したのは、星砂のキーホルダーだった。



「うそ……それ、あたしも持ってる……」



あたしはお財布の中から、今日買った星砂のキーホルダーを取り出した。



「え!?マジ?咲下もそれ買ってたのかよ……しかも同じ青色じゃん……」



こんな偶然て……。



「すっごい偶然だな」



「ホント、びっくり」



「やっぱりピンク色のほう選べばよかったな……」



橘くんは小声で呟く。



「え?」



「いや、なんでもない。お土産見てた時、目にとまってさ。なんとなくだけど、咲下がこういうの好きそうな気がして……」



「え?もしかして、それあたしに?」



「……うん、そう。でもまさか同じやつ買ってたなんて思わなくて。しかも同じ色だしな」



橘くんがあたしに?

なんで?



どうしよう。



うれしすぎて、あたしなんか泣きそうだよ。
< 27 / 528 >

この作品をシェア

pagetop