逢いたい夜は、涙星に君を想うから。

「橘くん、ありがとう。すっごくうれしい!」



本当にうれしい。



「けど咲下、同じやつ持ってるじゃん。同じ色のやつ2コもいらないだろ?」



「そんなことないよ!でも……あたしが買ったやつは、橘くんにあげる。はいっ」



「え?」



「いらない……?」



「い、いるっ!」



「ふふっ、よかったぁ」



本当は、橘くんとおそろいで買おうと思ってたんだよ。



でもそれは、あたしだけの秘密。



同じ物を選んだ偶然も。



なにか特別な意味があるって思いたい。



幸せな奇跡。



「さんきゅ、咲下」



橘くんは星砂のキーホルダーを受け取り、あたしに微笑んだ。



「あたしの方こそ、ありがとっ」



――ガラガラガラ。



向こうで、バルコニーの扉が開く音が聞こえた。



「もしかして先生?」



動揺するあたしは、橘くんと顔を見合わせる。



「咲下、こっち……」



そう言って橘くんは、あたしの右の手首を掴んで引っ張っていく。
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