逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「え……?陽太とあたし……?付き合ってないよ」
あたしが答えると、陽葵ちゃんはうつむく。
「陽葵ね……ふたりは付き合っとるって思っとった」
「えっ……そうなの?なんで?」
「春にうちでバーベキューやったやない?あんとき、お兄ちゃんの部屋でふたりがキスしよったとこ見ちゃったんよね」
そういえば、あのとき……。
陽太の部屋の前に陽葵ちゃんがいた。
やっぱりあのときのキス……見られてたんだ。
それで付き合ってるって誤解を?
「あれね、陽太が酔っ払ってたのか寝ぼけてたのか、よくわかんないけど……とにかく一方的にキスされちゃっただけで、付き合ってるとか、そんなんじゃないよ」
「一方的にされたん?お兄ちゃん最低……」
「ふふっ。でも次の日に、ちゃんと謝ってくれたよ?」
陽葵ちゃんはあたしの目を真っ直ぐに見つめる。
「凜ちゃんはお兄ちゃんの気持ち、気づいとるんよね?」
「……陽太に……ハッキリ好きだって言われたことはないよ?」
「やけど、気づいとるよね?」
あたしは陽葵ちゃんと見つめ合ったあと、コクンと小さく頷く。
「ほうよね。お兄ちゃん……わかりやすいけんね」
なんとなく……陽太の気持ちには気づいてた。
でも気づかないフリをしてた。
「凜ちゃんには……他に好きな人がおったんやね……」