逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
バルコニーの隅には大きな観葉植物の鉢、その近くには、いくつかのテーブルやイスが置いてある。
橘くんはあたしの手首を掴んだまま、いちばん奥のテーブルへと連れていく。
狭いテーブルの下に入り、見つからないように身を隠した。
ふたりは体を寄せ合う。
橘くんの右腕とあたしの左腕は、ぶつかったまま……。
――トクン、トクン……。
胸の音がどんどん大きくなってく。
こんなに近くにいたら、あたしの胸の音、
橘くんに聞こえちゃうよ。
――パタ、パタ、パタ……。
スリッパを履いている足音が聞こえてくる。
テーブルの下から様子をうかがっていると、懐中電灯でバルコニーを照らしているのは見周りにやってきた先生だった。