逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
見つかったらどうしよう……。
――パタ、パタ、パタ……。
足音とともに、こっちの方に先生が歩いてくる。
ヤバい……見つかっちゃう。
あたしは俯き、息を止める。
――パタ、パタ、パタ……。
早く行って……!
――パタ、パタ、パタ……。
あたしは恐るおそる顔を上げる。
なんとか気づかれずに済んだようだった。
先生は向こうのバルコニーの扉の方へと歩いていく。
――ガラガラガラ。
扉が閉まる音が聞こえ、先生はいなくなった。
「ハァ―――ッ」
ふたりで同時に大きく息を吐き出した。
「びっくりしたね、見つかるかと思ったぁ」
そう言って、あたしは笑顔で隣の橘くんの方を向く……。
「俺も……」
目の前には彼の顔があった。
お互いの息が顔に触れるほど近く……。
見つめ合うあたしたち。
まるで、時間が止まってしまったみたいに動けなくなる。