逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「また三者面談、勝手に断ったそうね」
いつもと変わらず偉そうな態度で腕を組んで立っているのは、のえるの母親。
「今日、学校の先生から電話があったわよ」
あたしは彼女の言葉を無視して、イスから立ち上がり窓際のカーテンを閉める。
「口があるんだから、なんとか言いなさい」
あたしは立ったまま壁に寄りかかり、彼女を睨みつけた。
「今回も先生と二者面談にしました。あたしに母親はいませんから」
「ねぇ、あなた本当に就職するつもり?」
彼女は、あたしをバカにしたように笑って言った。
「ろくにやりたいこともない、資格もなにもない、おまけに情緒不安定で反抗的。それでどこに就職しようとしてるの?世間はそんなに甘くないわよ」
あたしは彼女から顔を背けて、拳をぎゅっと握り小さな声で呟く。
「……ほっといて」
「あなたのお父さんも心配してたわよ?1年間浪人して、大学受験したら?」
「高校卒業したら、すぐにこの家を出ていきます」
彼女は呆れたように大きなため息をついた。
その表情がまたあたしを苛立たせる。
「ほんっと、口だけはいつも偉そうね」
「話が終わったんなら、早く出て行ってもらえません?」
彼女は窓際のデスクに近づき、あたしの詩のノートを手に取った。
「ちょっと、あたしのモノに勝手に触んないでっ!」
「なにこれ?フッ……くだらないこと書いてる暇があるなら、勉強しなさいよ」
アンタなんかに何がわかんの?
あたしの何がわかんの?
ノートを取り返そうと、あたしは彼女の腕につかみかかる。
その時、
――バサッ。
彼女は部屋のゴミ箱にあたしの大切なノートを捨てた。