逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
・手を握りしめて
――――――……
空がオレンジ色に染まる夕暮れ時。
3泊4日の修学旅行が終わり、あたしは家にひとり歩いて帰る途中だった。
ポケットの中から星砂のキーホルダーを取り出して見つめる。
橘くんと話せたし、こんな素敵な思い出ができるなんて、思いもしなかった。
うれしくて、ついつい頬がゆるんでしまう。
「楽しかったなぁ……修学旅行……」
自宅のアパートに着き、カギを開けてドアノブを握りしめる。
――ガチャ……。
「ただいまー」
ドアを開けると、静まりかえった部屋の中。
「お母さん……?」
返事はない。
部屋の中を探しても、お母さんの姿はなかった。