逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
最後は笑ってお別れしよう。
「元気でね」
「凜もな」
「うん。じゃーね」
笑顔で陽太に手を振ったあと、あたしは振り返って改札の方へと歩いていく。
改札を通る前に立ち止まったあたしは、後ろを振り返った。
歩いていく陽太の背中を見つめる。
陽太……。
もう逢うことはないかもしれないけど。
もしも、いつか逢えたら
その時はまた、いまと変わらない笑顔で
逢えたらいいね。
陽太、バイバイ――。
前を向いて、改札を通ろうとした瞬間、
「凜――っ」
後ろから大きな陽太の声が聞こえた。
その声に立ち止まったあたし。
後ろを振り向くと、陽太が走ってきてあたしを抱きしめた。
「ちょっ……陽太どしたのっ?」
「約束……守るんやぞ」
――約束。
陽太との約束……
“橘くんに逢いに行くこと”
陽太の腕の中で、あたしは「うん」と小さく頷いた。