逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


――――――……



あれ……?

あたしいま、どこにいるの……?



ここ……どこ……?



真っ暗で何も見えないよ。



『……凜』



この優しい声……お母さんの声だ。



お母さんなの……?



遠くに見えた微かな光を目指して、あたしは暗闇の中を必死に走っていく。



光の中に後ろ姿が見えた。



『ハァ、ハァ……っ……お母さん……?』



あたしの声に振り向いたのは、やっぱりお母さんだった。



『おかぁ……さん……逢いたかったよぉ……』



『凜……』



ねぇ、お母さん。



なんでそんな悲しい顔であたしを見つめるの……?



笑ってよ……お願い……。



お母さん……そんな瞳であたしを見ないで……。



『おかぁ……さん……?』



お母さんの瞳から涙がポタポタ落ちてくる。



『なんで泣いてるの……?』



お母さんは何も言わずに首を横に振って、光とともにその姿を消した。
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