逢いたい夜は、涙星に君を想うから。

“病院内の公衆電話からかけてるの。いま北十字病院に入院してて……”



「えっ?入院?」



“心配しないで、凜。ただの検査入院だから”



「なんで連絡してくれなかったの?」



“修学旅行中に余計な心配させたくなかったのよ”



「お母さん……」



“少しの間、凜を家にひとりにしてしまうけど……ごめんね”



「そんなことはいいけど……」



やっぱり具合が悪かったんだ。



修学旅行の前、なんかお母さん……いつもと様子が違ったし。



体調悪そうで、つらそうだった。



お母さんとの電話を切ったあたしは、



ケータイを握りしめたまま力が抜けたようにペタンと床に座り込む。



静かな部屋、時計の秒針が動く音だけ聞こえる。
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