逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
あたしが手を離そうとすると、彼は一層強くキツくあたしの手を握りしめた。
「この手は……絶対離さないっ」
汗ばんでいく手……。
あたしの体が少しずつ下へと下がっていき、崖から身を乗り出している橘くんもこのままじゃ落ちてしまう。
もうダメ……。
橘くん……手を離して……。
お願い……。
離して……!
「死ぬ時は一緒だかんな」
橘くん……
「でも、いまは……」
彼はあたしの瞳を力強く見つめる。
「ふたりで一緒に生きるんだよ!」
……死ぬ時は一緒だと、橘くんは言った。
彼は死んでも、この手を離さないつもりなのかもしれない。
何よりも生きることを最後まで諦めなかった。
“ふたりで一緒に生きるんだよ”
あたしに“ひとりじゃない”と教えてくれた。
瞳に映る景色は、真っ暗な世界だった。
星屑の中で、涙を流す君。
橘くんの瞳からこぼれた涙の粒が
あたしの頬に落ちてくる。
その涙が、夜空の星みたいに光輝いて見えた。
ひとりぼっちだと思っていたあたしが
真っ暗な夜に堕ちたあたしが
この世界で見つけた……優しい光。
あたしにはいつも。どんなときも。
君がそばにいてくれた。
いつだって
君という光が、あたしを見つけてくれた――。