逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




橘くんの背中に掴まったまま、星空を見上げた。






――お母さん。



そばに行くって約束したのに。



ごめん。ごめんね。



あのとき、あたしの大切な人を。

橘くんを。



どうしても死なせたくなかった。



夜の暗闇の中に

一緒に堕ちて欲しくなくて



あたしは彼を手放したのに。



彼は言ったの。



“死ぬ時は一緒”だと。



あたしは彼を手放したのに、彼はあたしを離さないでくれた。



そんな彼を助けなきゃいけないと思ったの。死なせちゃいけないって思ったの。



いまはまだ頭が混乱してて、どうしたらいいのかもわかんない。



見つけた答えと、見つけられなかった答え。



何が正しくて、何が間違ってるのか。



それさえもまだ、何もわからない。






いまはただ

この夜だけは



彼のそばで何も考えずにいたかった――。
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