逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
☆琉生side☆
「俺、いまここで働かせてもらってるんだ」
咲下をおぶったまま、ペンションに連れて帰ってきた。
俺は1階にあるダイニングルームのイスに咲下を座らせる。
「ここでちょっと待ってて」
そう俺が言うと、咲下は小さくうなずいた。
俺がダイニングルームから出ていくと、オーナーの翔さんが1階にある自分の部屋から出てくる。
「琉生、遅かったな……あれ?誰かいるのか?」
そう言って翔さんは、ダイニングルームのほうを見た。
「翔さん、ちょっと話があるんですけど……」
「うん、わかった」
翔さんは自分の部屋に俺を連れていく。
「どこ行ってたんだ?何があったんだ?」
「すいません、翔さん……」
「謝らなくてもいいから、ちゃんと説明しろよ。連れてきたあの子は誰なんだ?」
翔さんは俺の腕を掴んで見つめる。
腕に出来たいくつもの擦り傷から、血が滲み出ていた。
「琉生もこんなケガして……」
「これくらい、たいしたこと……」
「……あの子もケガしてんのか?手当してやれ。いま救急箱持ってくる」
「あのっ!翔さん……」
「ん?」
「お願いがあるんですけど……」