逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



「咲下がお母さんのこと想うときはいつも……」



……いつもそばに。



「目に見えないだけできっと、そばにいるはずだよ」



咲下がお母さんを想う気持ちと同じくらい、お母さんだって咲下を想ってるよ。



お母さんだって、咲下に逢いたいはずだよ。



だから……悲しまないで。



泣いていいよ。寂しいときも、お母さんに逢いたくなったときも。



たくさん泣いていいから。



だけど、忘れないで。



お母さんが逢いに来てくれてること。



「お母さんと過ごした時間、忘れたらダメだよ。大切な思い出だろ?生きて、大切にしなきゃ……」



咲下の涙を、俺は親指でそっと拭う。



生きて、ずっと忘れないで覚えていて欲しい。



咲下とお母さんが過ごした、大切な時間を。



ふたりだけが知る思い出を。
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